1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 韓国MERS院内感染の謎

韓国MERS院内感染の謎

オピニオン 2015年6月19日 (金)  外岡立人(医学ジャーナリスト、医学博士)

これまでは中東、特にサウジアラビアに限局した感染症と思われていた、その名も「中東呼吸器症候群」(Middle East respiratory syndrome:MERS、マーズ)が、韓国に転移したかのように流行している。 ◆MERSという名前 この名前は本当は国際ルール違反である。そもそも、病名に人の名前や地域名を加えるのは避けるように言われてきたはずである。 名前のせいで、MERSが中東外で流行はじめると、何か違和感を覚える。同時に、流行地が中東ではないからそれほど心配はないだろうといった誤解も生じかねない。 筆者は、呼び方として「中東型SARS(サーズ)」が妥当と考えている。MERSを起こすウイルスとSARSを起こすウイルスは、同じコロナウイルスに属し、ともに新型である。コロナウイルスは人も含めて感冒を起こすウイルスである。 2003年中国で流行が始まったSARSは、Severe Acute Respiratory Syndrome(重症急性呼吸器症候群)と名付けられ、日本では当初「新型肺炎」と呼ばれた。 ウイルスの近縁差がどの程度かはさておいて、両ウイルスとも新型コロナウイルス...