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製薬企業の謝礼は「賄賂」にあらず

オピニオン 2015年6月26日 (金)  鈴木悦朗(神奈川県保険医協会学術部長)

臨床研究のデータ不正、捏造が社会問題化し、それに重ね製薬企業による研究・講演などへの医師への謝礼の額や多寡へ、不当な印象づけをまとう報道も相次いでいる。医薬品・医療機器、医療技術の研究・開発は、医学・医療の発展に必須であり、医師、医療者の関与抜きでは成り立たない。研究・教育(講演)への正当な対価は社会的に当然であり、これへの指弾は筋違いである。現在の事態を機に、萎縮のスパイラルに医療者側が陥ることとなれば、医学・医療の研究開発の遅滞・停滞を招き、人材や医療環境の育成・醸成はもとより、国内で享受できる「成果」を失い、高額な機器・医薬品の輸入増加を招く結果となる。医学・医療の研究法制の構造的問題に触れるとともに、医療のガバナンス確立に向けた、利益相反について直言する。 利益相反、利益誘導の誘惑をどう排するか 法的規制の諸外国と指針対応の日本 産学連携により臨床研究、臨床試験が旺盛になると、大学、学術機関、学術団体、医療機関など公的存在、公的性格を帯びた存在が企業活動に深く関与することとなり、その存在の「責任」と、所属する「個人が得る利益」(経済的利益、名声など)との衝突・相反する状態、「利...