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保険不参加医師が出る米国の教訓

オピニオン 2015年6月27日 (土)  岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

『沈みゆく大国アメリカ』(堤未果著、集英社)を続編とあわせ、読んだ。その読後感をしたためる。 ◆オバマケアの結果 2010年3月、オバマ大統領はアメリカ国民全員に保険加入を義務付ける「医療保険制度改革法(the Patient Protection and Affordable Care Act)」通称オバマケアに署名、2013年10月からオバマケア保険の申請手続きが開始された。 この著書は、その後の状況を記述したものと理解している。 それによれば、状況はおおむね次のようである。 ・フルタイム従業員50人以上の企業はオバマケアの条件を満たす保険提供義務を負ったが、企業は保険提供を嫌がり、結果、リストラの増大、フルタイムからパートタイム化が進んだ。 ・企業保険がない人は政府が設立した保険販売所(Exchange)で保険を買うことになっているが、希望する内容と保険料が見合わない(保険料が高いため、手が出せない)ケース続発。 ・メディケイド枠を拡大し、保険が買えない人を受け入れることにしているが、処方薬について患者負担が定額制から40%の定率制に変更され、また、慢性疾患薬が処方薬リストから外...