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薬剤師の法律問題SOS

オピニオン 2015年6月29日 (月)  赤羽根 秀宜氏(薬剤師・弁護士)

薬剤師向けの講演内容として最も依頼が多いのは、やはり調剤過誤に関するものです。薬剤師であれば、調剤過誤は誰にでも起こり得るものとして関心が高いでしょう。そこで今回は、調剤過誤を起こしてしまった場合の薬剤師の責任について解説します。 社会的責任と法的責任 調剤過誤とは一般的に、薬の取り違えなどのミスにより、患者に健康被害が起こってしまった調剤事故のことを指します。この場合の責任は、社会的責任と法的責任の2つに分けられます。 社会的責任は法的強制力はなく、信用の失墜、社会的な非難、患者の減少などが挙げられます。これに対して、法的責任とは、強制的に責任を問われることになります。 法的責任には「刑事責任」「行政責任」「民事責任」の3つがある 責任についての理解が不十分なために漠然とした不安を抱き、適切な対応がとれなかったというケースをよく聞きます。しかし、責任の内容をきちんと理解しておけば、問題をうまく解決できることが多くみられます。この機会にぜひ皆さんも覚えておいてください。 (1)刑事責任 まず、刑事責任ですが、この責任は犯罪を犯した者が懲役刑や罰金刑などの刑罰に処せられる責任です。患者さ...