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薬剤師の法律問題SOS

オピニオン 2015年7月1日 (水)  赤羽根 秀宜氏(薬剤師・弁護士)

医薬品には必ず副作用があります。重篤な副作用の多くはまれにしか起こりませんが、その可能性を患者に伝えると、副作用を怖がって服用を止めてしまうことも多いようです。ゆえに、医師や薬剤師は患者に説明するか判断を迷うのではないでしょうか。今回は重篤な副作用に対する、薬剤師の情報提供と指導の義務について解説します。 医師の裁判例では留意点を指導すべきと判断 実は重篤な副作用に関する裁判例が存在します。 (高松高判平成8年2月27日 判例タイムズ908号232頁) 医師が患者にアレビアチンとフェノバールを併用投与したところ、退院後に300万人に1人しか起こらないといわれる副作用の中毒性表皮融解壊死症(TEN)を発症して死亡。患者の遺族が医師に対して、投薬に際し注意義務違反があったとして損害賠償請求を行いました。 この裁判では「副作用の結果が重大であれば、発症の可能性が極めて少ない場合であっても、患者に対して服用上の留意点を注意する義務があるか」という点が問題になりました。裁判所は「その副作用の結果が重大であれば、発症の可能性が極めて低い場合であっても、副作用が生じた時には早期に治療することによって...