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コミュニケーションスキルと脳科学

オピニオン 2015年7月31日 (金)  枝川義邦(早稲田大学研究戦略センター教授)

「電話で対応するとなぜ疲れるのか」 前回は「電話で対応するとなぜ疲れるのか」についてお話しました。 今回はそれを踏まえて脳での仕組みについて、さらに詳しく見ていきましょう。そのなかで、対処の手がかりになりそうなアイデアをご紹介していきます。 私たちが情報を得るときには、五感から入ってきた情報を脳の“メモリ”に一時的に蓄えてから処理を進める、という機能があります。 これは「ワーキングメモリ」と呼ばれる記憶の一種で、その名の通り「作業(=ワーキング)するための記憶(=メモリ)」、つまり、対象についての作業をしている間は脳に情報が留まっているというものです。 記憶というと、見聞きしたことを「長期間覚えている」イメージですが、記憶にもいくつかの種類があります。机に喩えると、「長期間覚えている情報」とは机の引出しや書棚に収めたファイルのようなもの。対してワーキングメモリにある情報は、机の上に広げた書類のイメージで、まさに今使っている情報を指します。 ワーキングメモリを有効活用しよう ワーキングメモリは容量が限定されていることが特徴です。 その大きさは「マジカルナンバー7」と呼ばれ、メモリには平均...