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優等生の兄、その弟として誕生◆Vol.1

スペシャル企画 2015年8月1日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

医療界の歴史を語る上で、欠かせない人物がいる。その足跡をたどることは、医学が日進月歩し、医療制度改革が相次ぐ時代にあって、必ずや示唆に富む。 新企画「私の医歴書」の第一弾としてご登場いただくのは、東京大学名誉教授で、84歳の今もなお、日本医学会会長として多忙な日々を送る高久史麿氏。生い立ちから現在に至るまで、この8月、1カ月間、連日の連載で、高久氏の「私の医歴書」をお届けする。 ――高久氏は現在84歳。生まれたのは、1931年2月11日。子供の頃の記憶を尋ねると、「ほとんど覚えていないので……」と断りつつも、まず両親について語り始めた。 日本医学会会長の高久史麿氏(撮影:的野弘路) 私の父は、高久勇、福島県の会津坂下町の出身です。代々地主の家で、苗字を持っていたから、大きな地主だったのでしょうが、終戦後の農地解放で没落してしまいました。父自身は三男だったので、家を継ぐことなく、旧制の弘前高等学校を経て、それから京都帝国大学(現京都大学)に進学しました。法学部だったと思います。 私の母は、太田綾子、九州の田川郡の出身。今は田川市になっています。女3姉妹で、3人とも女専(旧制女子専門学校)...