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冲中教授の最終講義、「誤診率14.2%」◆Vol.10

スペシャル企画 2015年8月10日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――冲中教授と言えば、1963年東京大学退官時の最終講義で、臨床診断と病理解剖の結果を比較し、自身の教授在任中の誤診率を「14.2%」と発表したのは、有名なエピソードだ。 最終講義は有名で、新聞などでも、冲中先生自身がきちんと分析し、それを報告されたことを評価されていました。ただ私と平嶋(邦猛)君は、記事を見ながら、「やはり人間って言うのは、えらくならないとダメ。冲中先生だから皆が褒めてくれるけれども、もし僕らが、あのような発表したら、『やっぱり、やぶ医者』と言われるだけだ」と話していました(笑)。1級下の平嶋君とは、2人で研究している時期が随分あり、よく冗談を言い合っていましたね。彼は最後は埼玉医科大学の教授になりました。 当時は、まだ独身だったから、日中は臨床をやり、患者さんを診ながら、夜は遅くまで研究をやっていました。ただ、結構、芝居も観に行きました。 中尾先生を含め、4、5人が集まって、シンポジウムの打ち合わせをしていた時です。ちょうど歌舞伎を観に行く時間だったので、中尾先生に「先生、すみませんけれど、用事があるので」と言ったら、中尾先生は「どうぞ、どうぞ」と言って、「悪いな」...