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“大学依存”では医師のキャリア拓けず

オピニオン 2015年8月8日 (土)  森田麻里子(仙台厚生病院麻酔科)

先月、「レジナビ」という医師向けの合同就職説明会に出展側として参加した。新専門医制度の説明ブースには黒山の人だかりができ、関心の高さが伺えた。 初期臨床研修制度が2004年にスタートして以降、実は後期研修先選びも難しくなっていると感じる。初期研修で市中病院に出ていった後、何を専門として、どうやって実力を付けていけばよいか迷い、既存の制度における最適解として大学病院に戻るというパターンも多いように思う。周囲では、大学病院に戻ったものの、働く施設を自分で選ぶことができない不自由さなどから、大学を出たいと言う人もいる。 医師のキャリアは社会情勢に大きく影響される。20年ほど前までは大学にも経済的、人的資源の余裕があった。旧七帝大系などの国立大学では、臨床・教育の傍ら、先輩医師たちは自らが興味を持つ分子生物学を中心とする基礎研究に没頭した。若手医師は入局して幅広く臨床業務を行いながら、大学院での研究を自身の専門性として確立していった。 しかし、状況は変わった。1990年に12%だった65歳以上の人口は、2013年には25%まで上昇し、しかもその約半数は75歳以上である 1)。 社会保障費は19...