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「情けない体験させたくない」荒川哲男医学部長◆大阪市立大学Vol.2

スペシャル企画 2015年8月5日 (水)  成相通子(m3.com編集部)

――英語で教授回診を始めたきっかけについて教えてください。 大阪市立大学医学部長の荒川哲男氏。 僕は代表的な日本人で、英語を話すのは得意ではない。日本人は英語の読み書きは得意でも、話したり聞いたりするのは不得意。間違っていたら恥ずかしいと思って、自然と口が重くなる。そういうのは国民性だと思うが、国際的に損している。 英語に対するアレルギーのせい。僕自身もアレルギー感覚があって、情けない経験をしてきた。若い人たちには、恥ずかしがらずに英語を話せるような環境づくりをしたかった。 ――情けない経験とはどのような経験ですか。 1982年にアメリカで学会に参加した時に、自分の研究と同じような内容で発表している人がいて質問したかったが、英語を間違えたら恥ずかしいとできなかった。その時、後ろの方から、誰も理解できないような英語で質問している人がいて、「この人すごいな」と思った。 その人にとって、言葉は単なるツール。言葉で自分の人格が評価されるものではない。自分は、言葉自体を重く考えすぎていた。正しい英語を話そうという考えは「捨てなあかん」と。でもなかなかしみついたものは捨てられず、苦労した。 まずは...