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運良く「時の流れに身を任せ」◆Vol.30

スペシャル企画 2015年8月30日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――例えば、東大医学部入学時、あるいは卒業時など若い時代において、東大教授、自治医大学長、日本医学会会長などに就任することは想定していたのだろうか。 そんなこと、夢にも思っていなかった。医学部に入学した際は、「医者になる」と決めただけで、特に開業しようとか、病院に勤務しようとか、教授になろうかということは、全く考えていなかった。ただ、流れるように……。それこそ美空ひばりじゃないけど、「時の流れに……」ですね。 やはり運が良かったと、自分では思っています。沖中内科に入局して、血液グループを選んだのは、偶然ですが、神経内科がメーンの当時の沖中内科ではマイナーな分野でしたから。けれども、私がアメリカ留学から帰ってきた時に、中尾先生が群馬大から東大の教授として戻られて、優秀な人が血液グループにたくさん入ってきた。私の上の世代の医師もおられたけれど、私が血液グループの実質的なヘッドになった。中尾先生が東大に戻られなかったら、私は基礎医学の道に進んでいたかもしれません。その後、自治医大の教授になった時も、優秀なスタッフが3、4人付いてきてくれた。おかげさまで業績を残すことができ、その後、東大教授に...