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「介護職は低賃金」を巡る議論

オピニオン 2015年8月23日 (日)  楢原多計志 (共同通信社 客員論説委員)

7月上旬、介護関係団体が出版社に抗議した。 中高生向けの教科書に「介護職は重労働で低賃金」と記述されたが、根拠がない上、介護職の社会的評価を貶めている──と抗議し、修正を求めた。実態はどうなのか。 ◆真摯に検討 抗議したのは、全国社会福祉法人経営者協議会(経営協)、全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会など6団体。抗議先は教育出版と実教出版の2社。 原因となった教育出版の『中学社会 公民』には、介護保険制度が抱える課題を取り上げられ、介護職員の人手不足について「介護の仕事が重労働で低賃金」との趣旨の記述がある。また実教出版の高校生向けの『最新 現代社会』には写真説明の中に「介護現場は重労働で賃金も高くない」とある。 経営協の役員(社会福祉法人理事長)は「何をもって重労働で低賃金と決めつけるのか、根拠が乏しく、マスコミ報道が作り上げたイメージに便乗して書かれてはたまらない」「子供たちにマイナスイメージを与え、介護への道を閉ざすことになりかねない」「介護職の働く意欲を削いでしまう」などと憤る。役員によると、抗議を受けた2社とも修正要求に「真摯に検討したい」と答えたという。 ◆事実は事...