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医学生よ、将来を考えずに臨め

オピニオン 2015年9月6日 (日)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

就職活動がどんどん前倒しになり、多くの大学生は大学入学時点から就職活動を開始しなければならないという。サークルに入るときも「就職に有利なサークルはなにか」と問われるくらいだと聞くから、相当なものだ。かつて受験戦争時代は「大学に入学する」ことが目的であり、大学で何をするのかは一切問われない時代であった。現在は大学は「就職するための手段」に堕しており、よって大学で何をするのかは一切問われない(就職に有利になること以外は)。昔が良かった、とは思わない。今も昔も大学にいることは目的ではなかったのだ。多くの大学生にとって。 文科省からして大学を就職後の準備機関として扱うよう教唆しており、就職や実務に役に立たない勉強は不要であるとまで考えられるようになっている。前に書いたサインコサイン話もその延長線上にある。 昔は高校の勉強が「大学に入るための辛抱」として行われ、大学に入れば就職してバラ色の人生レールにのっかる、というシナリオだった。今は受験で辛抱しても、やはり大学で就職活動に辛抱しなければならない。就職活動の「受験化」である。かりに就職できたとしても、そこには終身雇用もなければ、そもそもその企業...