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「机上の構想」、池上慶應大名誉教授が指摘

レポート 2015年9月12日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

慶應義塾大学名誉教授の池上直己氏 9月12日に札幌市で開催された第57回全日本病院学会で、慶應義塾大学名誉教授(元医療政策・管理学教室教授)の池上直己氏は、地域医療構想について「国のガイドラインとデータに従って機械的に構想を策定するものの、現場の反対でとん挫し、机上の構想に終わる可能性もあるのではないか」と述べ、4月から各都道府県で策定がスタートした同構想の実効性に懐疑的な見方を示した。 地域医療構想は、全ての団塊の世代が後期高齢者になり、医療需要が高まる2025年に向けて、医療提供体制を整備するのが狙い。民間医療機関の経営者が主な会員である本学会の重要テーマであり、特別講演をはじめ、さまざまな企画で各演者は地域医療構想に言及したが、地域医療構想の意義に冷ややかな目を向けたのが池上氏だ。 池上氏は、「机上の構想」と見る理由として、病床は病院の既得権であり、病床削減は難しいほか、診療報酬との整合性が取れていない点、病床機能分化に対する都道府県知事の権限の弱さなど、さまざまな点を挙げた。地域医療構想は、「医療ニーズ」を基に必要病床数を推計するが、「医療ニーズ」は患者側の要因だけでは決まらず...