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「初のNature論文」が留学の成果◆Vol.6

スペシャル企画 2015年10月11日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1974年に米国留学から帰国。ただ、どこに戻るか、“ひと騒動”があった。 その前年の1973年、京都大学の教授で、当時の生命科学分野の重鎮だった早石修先生が、ボルティモアまで石坂先生を訪ねてこられた。京大の免疫学教授として招くことが目的。僕も助教授として招かれていたことは、後から知った。その年の秋、石坂先生から「一緒に来てくれ」と誘われたのだ。日本では、石坂先生の帰国が話題になり、「『頭脳流出』ユーターン」と報道していた。 京大では、免疫学研究室を新たに立ち上げるということで、設備も期待できた。それで心が揺れたけども、今度は山村先生がボルティモアまで尋ねてきて、「ちょっと待ってくれ」と言われて……。山村先生は偉かったと思う。「石坂先生のところに行くのはやめとけ」ではなく、「君は阪大にとって必要な人材だ。われわれのために帰ってきてほしい」と言う。わざわざ出向いてきて説得されると、「そこまで思ってくれるんか」と感慨深い。さんざん迷ったものの、阪大に戻った。 あの時、僕も一緒に京都に行っていたら、多分、日本の免疫学の風土が変わっていたかもしれない。京大が日本の免疫学の中心になり、今ここ(...