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緩和ケアにおいて薬剤師さんに望むこと

オピニオン 2015年10月5日 (月)  高宮有介(昭和大学医学部 医学教育推進室)

緩和ケアの現場から患者と医療者との関わり方について昭和大学医学部の講師・高宮有介先生にうかがう本連載。前回のコラムでは、人が死を意識した時に人生を振り返り、その意味や役割について考えて苦悩する「スピリチュアルペイン」を紹介しました。今回はその痛みとの向き合い方について事例をもとに説明していただきます。 スピリチュアルケアの基本は「聞くこと」 薬剤師さんは調剤業務の他に、病棟や調剤薬局であれば服薬指導、在宅医療であれば訪問先でのコミュニケーションなど、患者さんと接する機会が増えていると思います。その際、患者さんはあなたを「信頼できる」人だと感じた時にだけ、彼らの抱える苦悩=スピリチュアルペインを語るのです。そして、そのスピリチュアルペインを癒すことが、スピリチュアルケアです。 スピリチュアルケアは、ある意味で身近なケアであり、誰もが経験する可能性があります。医療者が患者さんに施すのみならず、患者さん同士でもスピリチュアルケアをすることもあるのです。ここで、末期がんで入院していた中年女性(Aさん、Bさん)の例をご紹介しましょう。二人は同じ病室でしたが、ある日の夕方Aさんが「私なんて生きてき...