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売上1000億円超のアクテムラ、産学連携の好例◆Vol.12

スペシャル企画 2015年10月21日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1986年のIL-6の発見から、抗IL-6受容体抗体であるアクテムラ(トシリズマブ。2005年に日本で世界に先駆けて薬事承認され、抗リウマチ薬などの適応を持つ)が、実際に抗体医薬として使えるようになるまで、どんなステップを踏んで、研究を進めてきたのだろうか。 in vitroの研究の後は、動物実験。IL-6を大量に発現するようにした遺伝子を入れたマウスを作り、それを抗体でブロックすると、さまざまな症状が消えるなど、基礎的な実験を重ねた。関節リウマチについては、サルに実験的な関節炎を起こし、抗体投与で抑えるといった実験もやった。 偉かったのは、企業や。抗体を薬として生産するのは、企業の仕事。われわれとしては、仮にタンクを持っていたとしても、何をどうやったら大量培養できるか、分からない。僕たちのグループの研究成果を見て、中外製薬の当時の社長が、アクテムラを製造する設備投資を決断した。取締役会では、「岸本先生の口車に乗って、そんなことをしたら、中外はつぶれます」と言われたらしい。それでも、「これは行ける」と思ったんだろうね。宇都宮に、10トンのタンクを8基、導入した。当時は数百億円かかっ...