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「研究者一本槍にあらず」が強みに◆Vol.13

スペシャル企画 2015年10月24日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――最初は臨床と研究に従事し、その後は約20年間、基礎の研究者だった。1991年に阪大第三内科教授になり、また臨床にも携わるようになった。自身のキャリアをどう見ているのか。 基礎と臨床両方の経験が岸本氏の強み(写真:近藤宏樹) 内科医というバックグラウンドを持ち、それから研究者になり、また医者に戻ったことが、結果的に、アクテムラ(トシリズマブ、抗IL-6受容体抗体)の開発につながった。 「重箱の隅をつつく」みたいな研究をやっている人が多いけど、生命科学研究は、やはり最終的に病気の診断や治療につながった時に、大きなインパクトを与える。例えばアスピリン、ステロイドホルモン、スタチンなどの基礎研究は、臨床応用され、医学の歴史に残っている。 今も基礎的な優れた研究はいくつもあるが、基礎研究から最後までつながって、医薬品として製品化したものはなかなかない。Translational Research(橋渡し研究)の重要性が言われるけれど、それはなぜか。基礎的な研究をしている人は、あまり病気のことに興味を持たず、自分の研究がどこにつながっていくかをあまり考えていないから。あるいは、臨床だけをしてい...