「流行を追う研究」は能がない◆Vol.16
スペシャル企画
2015年10月28日 (水)
橋本佳子(m3.com編集長)
――分子生物学は、シークエンスの方法をはじめ、技術の発展とともに目覚ましく進歩している。今後の生命科学はどんな発展を遂げていくと考えているのだろうか。 研究テーマについては、僕はいつも、「人がやっていることをやってはいけない」と言っている。人の真似していたら、絶対にその人には勝てないからね。 「患者さんを診ていれば、なぜ、と思うことはいくらでもある」と、日常診療の中に研究のシーズが多々あることを説く(写真:近藤宏樹) 僕自身、まだまだ、やりたいことはたくさんある。何年か前かな。このセンターで、僕のところに入ってきた学生が、こんなことを聞いたことがある。「先生の時代には、IL-6の研究をしただけで、こない偉うなった。けれど、今は、コンピューターの中に、シークエンスも何もかもありますわ。われわれは、もうすることないと違いますか。何をしたら、ええんやろうか……」。 僕は、「そやけど、考えてみると、まだ治ってない病気がいっぱいある。何で起きるのか、分からん病気もいっぱいある。それを研究し、治療法を見付けていくことを考えたら、いくらでもやることはあるで」と答えたんだけどね。 別のある時、「なぜそ...
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