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IL-6研究、際限なく奥深く◆Vol.17

スペシャル企画 2015年10月30日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――手法は異なっても、一貫して免疫の研究を続けてきた岸本氏。免疫分野に関する研究の今後をどのように展望しているのだろうか。 アクテムラは、IL-6の信号をブロックする抗体。関節リウマチだけでなく、それ以外にも、急性、慢性かを問わず、さまざまな病気でIL-6が関係していることが分かってきている。 例えば、がんの活性化自己リンパ球(CAR-T cell)療法の際に起きるショックは、アクテムラで抑えることができる。救急の分野でも、IL-6が関係している。出血や重症敗血症になると、ショックに至り、死ぬ人は多い。ショックの有効な治療法はないけれど、IL-6がショックの中心分子であると分かってきた。アクテムラで6、7割が治るというマウスの実験もある。1986年にIL-6を発見した時には、誰もそんなことは考えていなかった。当時は、TNFだと思われていた。 だから、米フィラデルフィアのセントコアという会社は、抗TNF抗体を作った。しかし、ショックには効かなかったけれど、慢性の炎症に効くと考え、関節リウマチに使ったら、ものすごく良くなった。今は幾つかの会社が競争して作っているけど、抗TNF抗体は、世界の...