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医療倫理を蹂躙、患者申出「実験医療」に反対

オピニオン 2015年10月12日 (月)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

患者申出療養の制度骨格が中医協でこのほど概ね了承された(9月30日)。混合診療の全面解禁や有害事象への対応が取り沙汰され、釘を刺す文言が確認されたが、制度の本質的問題は衝かれることなく過ぎている。重大な問題は、臨床研究の「実施計画」の適格基準外への実施や、実施計画が作成不能な臨床研究の実施を国が認める点にある。これは倫理指針を完全に逸脱しており、倫理指針遵守を求める制度趣旨と矛盾している。われわれは医療倫理を蹂躙する、患者申出療養に改めて反対する。 ◆臨床研究計画を含まない「実施計画」という詐術を弄し制度化 混合診療(保険外併用療養)は「臨床研究」の範疇で、未承認の医薬品や医療機器の使用、これらを伴う医療技術の実施を認めている。つまり、安全性・有効性を国が担保する薬事承認に必須の治験(臨床試験)を経ずに、便法を駆使し「臨床研究の倫理指針」に基づき「実施計画(プロトコル)」の作成で、過渡的に保険診療との併用を認めている。これは、通常の医療、診療ではなく臨床研究である。外形的には臨床研究と保険診療の併用だが、実質は研究への保険診療からの財源補填となる。 混合診療(保険外併用療養)は、薬事承...