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中三で終戦、旧制三高に進学◆Vol.3

スペシャル企画 2015年11月3日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

――中学3年生で迎えた終戦。それでも、すぐに通常の授業に戻ることはなく、落ち着かない日々が続いた。 旧制三高時代(提供:井村氏) 中学校の先生は、終戦までは「日米戦争は、聖戦だ」「鬼畜米英」などと生徒に教えており、終戦後も、しばらくは「お前たちは、隠忍自重して将来、アメリカをやっつけろ」と言っていた先生もいます。そんな状況ですから、教育方針も定まらず、各先生が自分の思い通りに教えていた。新聞などの報道もそうだったのではないでしょうか。 中学校3年生の後半の記憶は少ないのですが、3年生の終わり頃になって、ようやく「やはり勉強しないといけない」という気持ちになりました。川崎寿彦君という、お父さんが軍医で、非常に優秀な転校生が来たことがきっかけです。実際は1歳上だったのですが、病気で留年し、私たちのクラスに入りました。「こんな秀才がいるのか」と衝撃を受けましたね。彼は後に京都大学の英文学科を卒業して、名古屋大学の教授になりましたが、残念ながら定年の前に癌で亡くなりました。 もう一つのきっかけは、中学校の校舎の本館が、たばこが原因の火事で焼けてしまったこと。終戦の翌年、1946年3月のことです...