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一人の患者が内分泌学目指す契機に◆Vol.8

スペシャル企画 2015年11月8日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――入局2、3年目の大津赤十字病院時代、幅広く内科疾患を担当し、研さんを積んだ日々だった。 大津日赤時代の三つ目の論文は、形質細胞白血病に関するもの。多発性骨髄腫ながら、白血病化した形質細胞が血液にたくさん出てくる珍しい症例で、症例報告しました。 論文にまとめた以外にも、もう一つ忘れられないのは、クッシング症候群の患者さん。小松先生が外来で診た患者さんで、その時は、私は予診担当ではなかったのですが、病棟で「井村君、を呼べ」と。駆け付けたら、「君、これムーンフェイスと違うかね」と言われた。確かに、赤ら顔で丸い。「入院させるから、主治医になれ」と指示された。 クッシング症候群と診断するには、ステロイドホルモンを測らないといけない。ところが、当時は京大でもまだ測っておらず、この分野の研究で有名な岐阜大学の三宅儀先生のところに検査技師と出向き、2日間、測定法を学んだ。病院に戻って、その患者さんの検査を行ったのですが、17ケトステロイドは測れたけれど、本当に診断に必要な17ハイドロキシステロイドが、なかなかうまく測れない。仕方がないので、血液と尿を岐阜大に持っていき、それで診断を確定したのです。...