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苦労続きの大学院、「最初の一歩」まで1年◆Vol.9

スペシャル企画 2015年11月9日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――大学院時代、最初に与えられたのが、副腎皮質刺激ホルモンに関する研究だった。 私たち同期4人は、三宅先生が京大に戻った時の最初の大学院生。通常は助教授や講師が研究指導に当たるのですが、私たちは三宅先生から直接指導を受けました。 大学院時代は苦労の連続で、最初の1年間は本当に苦しい思いをしたという(写真:近藤宏樹) 私に最初に与えられたテーマは、血液中の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の測定。ステロイドホルモンはACTHに刺激されて産生される。ACTHを測らないと全貌が見えないわけです。ACTHの構造が決定された間もない頃で、分かっていたのは、39個のアミノ酸から成るという構造くらい。 研究を進めるためには、まずACTHの血中レベルを測定する必要がありますが、ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンのように化学的測定法はなく、生物学的な測定法しかなかった。ACTHを打つと、なぜか副腎皮質中のアスコルビン酸が減少する。それを指標にして、ACTHを測っていたわけですが、鋭敏でもなく、ACTHでなぜアスコルビン酸が減るのかも分からなかった。京都にあったアメリカ文化センターへ通って、過去の論文を読ん...