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ANP、BNPで新知見、心不全診療に貢献◆Vol.17

スペシャル企画 2015年11月17日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1977年の京大第二内科教授就任後、人員体制とともに、研究についても、体制を整え、進めていた。 京大では、神戸大の研究の続きとして、ACTHのほか、心臓ホルモン、インスリン、後にインクレチンと呼ばれる消化管ホルモンなどの研究にも取り組んでいました。 心臓ホルモンの研究を始めたのは、日本では高血圧症の患者が多いからです。血圧を調節するホルモンとして、当時分かっていたのは、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系。しかし、これだけでは説明できない現象が、たくさんあります。 心臓ホルモンの一つ、ANPの存在を発見したのは、カナダのde Bold氏。その構造決定は、1984年に、当時宮崎大学におられた松尾壽之先生がいち早く行いました。ANPは、心房で作られることが分かっており、血圧調節に重要な意味を持つホルモンであると考え、私たちの教室でも取り組みました。中心となったのは当時助手で、後に私の後任の教授になった中尾一和君です。 松尾先生は、ANPの構造決定から3、4年後に、ブタの脳の中からANPによく似た物質を見付け、BNP、Brain Natriuretic Peptideと命名した。私...