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医学部長時代、医学部定員削減も断行◆Vol.19

スペシャル企画 2015年11月19日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1989年4月、医学部長に就任、仕事はさらに多忙になった。 思いがけず就任した医学部長ですが、やりたいと言うか、やらなければいけない仕事が二つありました。 一つは、医学部の定員削減です。これは前医学部長時代からの宿題でした。第二次ベビーブームの際、終わったら定員を減らすという条件で、100人から120人に増員したのです。しかし、ベビーブームが終わると、「京大辺りで、たくさん医学生を取ると、私学が堪えるから減らせ」というプレッシャーが、文部省に行っていた。教授会に諮ると、「せっかくいい学生が来るんやから、そんな減らすのはけしからん」と言われ、半分以上が反対の雰囲気になった。卒業生が自分たちの教室に入ってくる期待もあったのでしょう。 しかし、もともとは減らす前提で増やしたのだから、約束を反故にするわけには行かない。私は再度、教授会に入学定員を減らすことを提案し、その代わりに、「京大は、研究重視の大学なのだから、大学院生を増やす」ということで説得したのです。すぐに文部省にも行って、大学院を4講座作りたいと依頼しました。うち脳の形態と生理学の2講座は既存の講座の大学院で、残る2講座は新設し...