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がん対策、検診率すら正確なデータなし◆Vol.1

スペシャル企画 2015年12月1日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

東北大学公衆衛生学教室は、日本の公衆衛生学をけん引してきた教室の一つ。特にがん領域では、関係機関と協力し、全国に先駆け、宮城県のがん登録を開始、検診や罹患率をはじめ、がんに関係するさまざまなデータを発信してきた。その弟3代教授を務めたのが、久道茂氏。がん検診の有効性評価をはじめ、各種の疫学的研究は国際的にも評価が高い。 東北大学医学部長まで務めた後、日本医学会副会長などを務め、今は宮城県対がん協会会長の職にある久道氏。ミステリー小説家としての顔も持つ、久道氏の「私の医歴書」を、この12月、計31回の連載でお届けする。 ――長年、がん検診を含むがん対策に取り組んできた久道氏。今のがん対策基本法をはじめ、がん対策についてどのように見ているのだろうか。 久道茂氏(写真:伊藤有宏) がん対策基本法として明示されているのは、がん研究の推進、1次予防、2次予防、それからがん患者とその家族のケア。 治療法の開発など、がんについての研究は、基本中の基本で重要ですが、実際に効果が表れるまでには何年かかるかが分かりません。これに対し、効果が確実に上がると思われるのは1次予防で、その代表例が禁煙です。その次...