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医師1年目、「トランク」生活の開始◆Vol.10

スペシャル企画 2015年12月10日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1年間のインターンを終え、1964年に医師免許を取得した。 ただ、はやりインターンは中途半端。一通り経験でき、消化器が好きだったので、消化器を中心に研修し、それなりに覚えましたが、他科はほとんど手抜き。しかも、無給で、病院に住み込みのような日々だったので、最低限の生活はできましたが、インターン闘争が起き、廃止されたのは当然だったと思います。 結局、専門として選んだのは消化器。大曲病院の松本先生にもよく指導していただき、消化器に面白さを感じたからです。また当時の日本では、胃潰瘍をはじめ、胃の病気が多く、がんも胃がんの患者数が最多で、「消化器をやっていれば、当面は、食いっぱぐれることはないかな」という現実的な判断もありました。 消化器の中でも、外科ではなく、内科を選んだのは、それほど手先が器用なわけではない上、何かをじっくり考えながらやることが好きだったから。外科系、救急などは瞬間的な判断でやっていかなければいけない。 これに対して内科では、診断までの過程には、ミステリーのクイズ、謎解きに近い面があり、そこに面白さを覚えたのです。謎を解くために考え、さまざまな検査をし、正しい診断にたど...