弱冠33歳、がん検診センター所長に◆Vol.12
スペシャル企画
2015年12月12日 (土)
橋本佳子(m3.com編集長)
――1968年から、宮城県がん検診センターの医員として勤務を始める。幾つか印象的なエピソードがあるという。 胃がん検診は40歳以上が対象。ところが、39歳なのに、1歳年齢を偽って、検診を受けに来た人がいました。自覚症状はなかったけれど、家族にがんで亡くなった人がいて心配になっていたようです。 検査してみると、早期胃がんだった。当時は、早期胃がんを見付けること自体、まれな時代で、私自身も初めての経験だったのです。たまたまというか、めぐり合わせ。X線写真に、気になる所見があったため、内視鏡、さらにバイオプシーをやって見付かった。1年待って検診を受けていたら、果たして早期だったのか、進行がんになっていたか、分からなかったですね。 早期がんの発見と言えば、こんなエピソードもあります。当時は、がん検診センターの検診車には、技師さんだけが乗って各地域に行き、地元医師会の先生方に立ち会ってもらい、何か問題があれば、対応してもらうようにしていました。ある開業の先生が、「せっかく立ち会いの役が回ってきたのだから、私も検診を受けよう」ということで、検診を受けたら早期胃がんだった。「いいことをしていると、い...
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