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「検診屋」の汚名返上、科学的評価を実施◆Vol.13

スペシャル企画 2015年12月13日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1970年代はまだ、日本には疫学的な手法について学んだ医師は少なく、久道氏も、がん検診の科学的評価に関する研究をする際には苦労したという。 有効性評価の中でも、一番大事なのは、がん検診の死亡率減少効果。そのためには疫学的手法を用いて、死亡率が減少したことを証明する必要がありますが、15年、20年など長期にわたらないと正確な効果は分かりません。それでは時間がかかりすぎるので、その前の段階で評価できる疫学的手法が必要でした。 ところが、私は疫学を習ったことがない。仕方がないから、外国の教科書を読んだりして、疫学を独学で学びました。日本では他の大学でも、がん検診に熱心なところがありましたが、やっているのは内科医。私も含めて、疫学をきちんと学んだ人は、当時は極めて少なかったのです。 ベネズエラをはじめ、海外でもがん検診の研究・普及に取り組んだ(提供:久道氏) 海外では、ケース・コントロールスタディ、コホート研究、RCTなど、さまざまな手法を用いた研究が、がん検診だけでなく、治療法の臨床研究などに用いられていた。今でこそ、日本でも当たり前になっていますが、当時の日本では、内科系にしろ、外科系...