1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 宮城県がん登録、全国に先駆け整備◆Vol.20

宮城県がん登録、全国に先駆け整備◆Vol.20

スペシャル企画 2015年12月20日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――久道氏が、宮城県がん検診センター時代、さらには東北大学時代、がん検診の科学的評価に取り組むことができたのは、全国で最初に始まった宮城県の地域がん登録のおかげだ。 幸いなことに宮城県は、1951年から開始し、1959年に日本で最初に地域がん登録を正式に始めたのです。世界では3番目。私は東北大学公衆衛生学教室の3代目の教授ですが、始めたのは、1950年に就任された初代の瀬木三雄先生です。 戦前の日本の医学部にあったのは、衛生学教室で、環境や毒物の研究が主でした。これに対し、アメリカやヨーロッパでは、「公衆衛生学こそ医学の基本」とされていた。「公衆衛生学部」があるくらいですから。それでは問題だというので、アメリカの指導で戦後、日本の大学医学部に、公衆衛生学教室の設置が進められたのです。 しかし、当然ながら、公衆衛生学をやっている人は少ない。そこで、経緯は分かりませんが、「厚生省にいるから、公衆衛生のことを知っているだろう」ということで、東北大学に赴任されたのが、瀬木先生です。瀬木先生は、東京大学の出身で、解剖学で学位を取得後、厚生省に入られています。厚生省時代に「母子手帳」を作ったのは瀬...