地域がん登録義務化、検証が必須◆Vol.21
スペシャル企画
2015年12月21日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
――2016年1月から、全国の医療機関にがん登録が義務付けられ、いよいよがん罹患情報が全国的に整備されることになる。その問題点などをどう見ているのか。 地域がん登録では、各病院の院内がん登録の情報に加え、人口動態死亡統計から死亡情報を得て補完し、がんの罹患数、生存率など、さまざまな情報を分析します。 宮城県の地域がん登録は、国の政策ではなく、県の単独事業として始めました。最初は宮城県立成人病センターがやっており、その業務は宮城県対がん協会に移りました。しかし、協会には人手が少なく、東北大学の公衆衛生学教室の医師たちがチームを作り、県内の主な病院に「採録」に行っていたのです。今で言う、地域がん診療連携拠点病院にはほとんど行っていました。「採録」とは、各病院のカルテ室に行き、がんの罹患情報を書き留めることです。 「採録」で集めた数は、実際のがんの罹患患者数の約2倍でした。それくらい集めないと精度は良くなかった。昔は1患者1カルテではなかったため、外科からも内科からも、死亡すれば病理からも罹患情報が上がるため、患者さんの「名寄せ」をしなければならなかったのです。 がん登録の精度を測る指標とし...
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