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報告書は「非識別化」が前提◆Vol.4

スペシャル企画 2015年12月18日 (金)  司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――院内調査については、報告書において「非識別化」にどう対応するかも、難しい問題です。 長田 私は、先ほどからお話している通り、学術的な論文に相当するような報告書を作成するというスタンスです。したがって、「この患者さんにこのような薬を投与した」「このような治療を行った」「その結果、このような変化が出た」など、具体的であっても、「誰が行ったのか」ではなく、「患者さんの状況」に重きを置いた報告書を書く方針です。ご遺族がそれを見れば、「うちのおじいちゃんは、こうした経過をたどったんだな」と理解してもらえると思います。 しかし、ご遺族から、「誰かが悪いことをしたのではないか」「誰が、と書いてない」と言われることもやはり想定され、その点が我々が考える学術的な視点との違いでしょう。医療法の省令で、報告書作成などの際に、「非識別化」するよう求めているのは、そのためだと思います。法律家の方々が努力してくださったおかげで、学術的な症例報告に近い形で報告書を書くよう、指示されたと理解しています。 山本 その点はご指摘の通りで、具体的に「誰が何をしたか」ということ自体は、重要な問題ではなく、再発防止に関係が...