「当事者の責任追及」を正面から否定◆Vol.6
スペシャル企画
2015年12月24日 (木)
司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
――仮に、事故の発生を報告した後に、「調査の過程で、事故ではなかった」と判断した場合、報告自体を取り消すことは可能なのでしょうか。 山本 法律の建て付けから考えれば、可能だと思います。報告後に、「医療事故ではなかった」と判断すれば、「報告義務の範疇には含まれなかった事象だった」ことを、センターに報告すればいいと思います。 武田 医学の世界には、「偽陽性」「偽陰性」があります。医療事故でも、「偽陰性」が問題であり、「偽陽性」が少し増えても問題はないと考えればいいでしょう。 山本 私もそう思います。 がん研有明病院の長田理氏は、「責任追及とは切り離した形で医療事故調査制度が動いた時点で、初めて安堵してこの制度に乗っていける」と語る。 長田 私たちの病院でも、「報告すべき事例は、年間どれくらいあるのか」を見積もってみたことがあります。当院の院内死亡は、年間500例弱です。癌の専門病院なので、癌でお亡くなりになる方が当然おられます。化学療法や手術を行う場合、死亡も想定され、そのリスクは患者さんに説明しているので、死亡例の大半は「予期した」に近いでしょう。 こうした視点で検討した結果、「報告すべ...
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