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研究費の不当会計処理も「無駄ありて 無駄なし」◆Vol.31

スペシャル企画 2015年12月31日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――50年以上、医療界で仕事をしてきた立場から、今の若手医師へのメッセージをお聞きした。 「下医と下患」の小説を書く構想もある(写真:伊藤有宏) 色紙にはよく「無駄ありて 無駄なし」と書いたり、公衆衛生に携わる医師たちには、「疫学を益学に」と書いています。 「無駄ありて無駄なし」ですが、振り返ってみると結構、無駄なこともやってきたと思うのです。けれども、全てどこかにつながっていたり、また失敗や批判を受けてもそれを無駄にしない精神が必要だということ。 私自身、東北大の公衆衛生学教授に就任して2、3年後のこと、「研究費の不正利用」と厳しい見方をされ、テレビや新聞に取り上げられ、大変な目に遭ったことがあります。 当時の研究費の会計は、2月中に使わければならなかった。しかし、2月は大学が忙しい時期なので、とても班会議は開けない。それで2月に研究班の会議を実施したことにして、実際には3月に開いたりしていました。細かな会計処理は、事務担当に任せていたのですが、2月の会議の日付が、たまたま私が大学で講義していた日だったのです。大学からは、「不正ではないけれど、不当」と判断され、学長から注意処分を受け...