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エボラ流行、WHOが動かなかった理由

オピニオン 2015年12月22日 (火)  外岡立人(医学博士、前小樽市保健所長)

2015年12月8日と9日、WHOは世界の専門家を招聘し、ほぼ終息しているエボラ出血熱以降に発生する可能性ある世界的感染症に関しての論議を依頼した。いわゆるWHO諮問委員会の開催である。 WHOにも各種専門家が職員として在籍しているが、具体的事象を把握し、論議するのは依頼された世界中の専門家によるのが常である。 日本の場合、何かというと有識者会議が開かれ、そこで重大テーマに関する論議が依頼されるが、WHOも似たようなものである。 エボラはパンデミックとはならなかったものの、西アフリカおいてわずか半年間で1万人を超える死者が発生した。それは、エボラ出血熱ウイルスの中のザイール株によるもので、エボラウイルスは変異し続けていることから、時折散発する発生もウイルスの系統が異なっている可能性がある。 今回の西アフリカの大流行は、2013年12月にギニアの少年がコウモリから感染、そして死亡したのが発端だった。周辺で家族が感染死亡、そして村人等に感染が広がった。 翌年の2014年3月には明確な流行が確認された。その際に、国境なき医師団が深刻なエボラの流行が始まっていることをWHOに知らせたが、WHO...