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オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~

オピニオン 2015年12月30日 (水)  藤田健二

創薬研究員、薬局薬剤師、学習支援・薬局研究部門のマネジャーを経て、シドニー大学大学院で薬学博士号の取得を目指す藤田健二先生に、オーストラリアの医療制度および薬局実務を読み解きながら、今後の日本の保険薬局のあり方について考察していただく本連載。第2回は、「医療制度および薬局を取り巻く背景」についてお話しいただきます。 かかりつけ医を中心としたプライマリケア・システム オーストラリアでは、日本の人口のわずか6分の1に相当する約2,300万人が、日本の約20倍の国土に暮らしています。さらに、内陸部は砂漠や草原が大部分を占めており、人口の多くは沿岸部に集中しているため、医療機関へのアクセスの容易さが住む場所によって影響を受けやすいという特徴があります。 オーストラリアの医療保障制度は、税方式による国民皆保険制度を基本として、病院での診療部分をカバーするメディケアと、処方せん医薬品をカバーするPharmaceutical Benefits Scheme (PBS)によって支えられています。この2つの公的システムによって、患者の医療費負担を軽減していますが、対GDP総医療費は2012年で9.1%に...