1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 薬剤師のためのワクチン入門

薬剤師のためのワクチン入門

オピニオン 2016年1月4日 (月)  石塚稔(多摩大学 医療・介護ソリューション研究所 フェロー)

第1回では、子どもの「VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)」について触れたが、今回は子どもの定期接種化が急務なワクチンと大人にも必要なワクチンについて解説する。「定期/任意に関わらず接種可能なワクチンの情報を教えて欲しい」というのは子を持つ母親だけではない。成人用ワクチンについても薬剤師は知っておく必要がある。今後、成人用ワクチンの種類は増え市場は拡大すると見込まれている。 子どもだけでなく妊婦や胎児も守る2種のワクチン 1.おたふくかぜワクチン(任意接種) 治療法がないムンプス難聴予防のため、子どものおたふくかぜワクチン接種は必須となっており、1歳の誕生日と小学校入学前の2回の接種が推奨されている。一方、妊婦がおたふくかぜウイルスに感染すると、不妊や流産・早産の原因になることもある。現在、おたふくかぜワクチンの接種率はたったの3割で、定期接種化される前の水痘ワクチンのそれとほぼ同じ状況だ。つまり、任意接種(有料)だと、対象者の7割が接種しないため、集団免疫の効果が大きく低下する。それにもかかわらず、公費助成をする自治体は、全体の1割...