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手術名手、Big Daddy の「Magic」◆Vol.10

スペシャル企画 2016年1月13日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――多くの症例を経験できたものの、リバプール小児病院は、系統立てて学ぶというよりは、日本式に「ボスを見て学べ」という方針だった。 Big Daddyの手術は、いわゆる名人芸といった類のものではなかった。大きな手で、これもまた大きなDenis Brawnの鋏や持針器を使って、ドタバタという雰囲気で手術が進んでいく。けれども、終わってみると、うまくいっており、合併症も起こらなかった。ボストンから来ていた同期のSamが、「なぜあの手術で、いつも成功するのだろう」と不思議がっており、私たちは、「Rickham’s Magic」と呼んでいた。 Big Daddyは、病棟には「Hello! My dear」と言いながら、笑顔で入っていく。婦長が差し出すリンゴをかじりながら、子どもたちとニコニコと話し、しかもポイントを押さえており、本当にすごい人だな、といつも感心させられることばかり。 その名の通り、「Big」で、大きな太鼓腹であったため、術衣のズボンがずり落ちることがたびたびあり、その度に「サチヨは向こう向いて!男性陣はズボンを上げて」と大騒ぎ(笑)。クリスマスには、ナポレオンばりの真っ赤なサスペ...