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九大の生体肝移植、1例目を手掛ける◆Vol.15

スペシャル企画 2016年1月18日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――就任から最初の5年間、力を入れたのが、教室の体制固めだ。 まずは徹底的に手術を教えました。昔はね、「大学では、手術は教授がするもの」だった。準備はスタッフがするけれど、教授が全て手術をやっていた。手取り足取り教えてくれるわけではなく、「見て盗め」。けれども、皆に指導医の資格を取ってもらわないと、他の病院などでも活躍できず、教授選にも出すことができない。 当時の九大小児外科の手術件数は、年間約400件で、全国でトップレベル。初めから難しい手術はさせられない。まず簡単な手術から入り、徐々に難しい手術を担当してもらうようにした。助教授以下のスタッフが手術をする時は、私は「前立ち」をし、手術を手取り足取り教えた。難しい手術は私が担当。年間120~130例くらいだったかな。 それから研究にも力を入れて、論文を書いて、業績を上げるようにした。ただ、この時に迷ったのは、研究分野を私の専門である、輸液・栄養・代謝に限るか、それとも小児外科の全ての領域に広げるか。結局、選んだのは後者。教室の全力を挙げて、一つのことに取り組めば、成果を上げやすい。けれども、小児外科の領域は広く、国立大学としては、小児...