オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~
オピニオン
2016年1月22日 (金)
藤田健二
創薬研究員、薬局薬剤師、学習支援・薬局研究部門のマネジャーを経て、シドニー大学大学院で薬学博士号の取得を目指す藤田健二先生に、オーストラリアの医療制度および薬局実務を読み解きながら、今後の日本の保険薬局のあり方について考察していただく本連載。第3回は、「薬局の役割と実現に向けた取り組み」についてお話しいただきます。 薬学教育の歴史からみる薬局の役割 ◆薬学教育の変遷 オーストラリアにおける薬局の役割は時代とともに進化を遂げており、その変遷は薬学教育の歴史に見ることができます。1960年まで、オーストラリアの薬剤師はPharmaceutical Chemistと呼ばれ、医薬品の調合と供給が業務の中心であり、薬物治療上の責任は担っていませんでした。そのため、薬学教育の内容は化学中心の科目と実務実習のみで、フルタイムの教育プログラムとしては認可されていませんでした。1960年にシドニー大学で3年間コースのBachelor of Pharmacy (BPharm) degree programがオーストラリア国内で初めて設置されてからは、化学を中心とする基礎系の教育カリキュラムから薬物動態学や...
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