1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 外科手術向上に必須の「三要素」◆Vol.13

外科手術向上に必須の「三要素」◆Vol.13

スペシャル企画 2016年2月13日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――肝門部胆管がんを専門とするようになったのは、どんな経緯からなのだろうか。 経皮経肝胆道内視鏡(PTCS)の検査法の確立も進めており、その過程で早期胃がんで見られるような表層拡大進展が、胆管がんでも見られることが分かってきた。一方では、肝内結石症の治療にも取り組んでいた。当時は、胆管の炎症を起こして、若い人でも急性胆管炎から敗血症になってショックで死亡する人が結構いた。胆管造影を行っても肝内胆管の解剖はまだはっきり分かっていなかった時代であり、肝内胆管に胆石を残すとまた再発するので、PTCSで観察しながら生体鉗子で1年くらいかかっても丁寧に石をつぶして摘出していくしかなかった。しかし、肝臓、ひいては肝内胆管の解剖はあまり分かっておらず、解剖が分からなければ、肝内結石症の治療も難しく、肝区域解剖を学ぶようなった。 こうしたさまざまなことが相まって、胆管がん、特に肝内胆管の区域解剖、肝門部胆管がんの進展度診断、手術法の開発に次第にのめり込んでいった。肝門部胆管がんの最初の切除例は1977年だったと記憶している。助手になった1979年頃からは、肝門部胆管がんを肝臓も含めて切除する手術法を、...