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「5%成功の可能性があるなら、手術を」◆Vol.17

スペシャル企画 2016年2月17日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――海外で印象的なライブ手術は、インドのムンバイ(ボンベイ)で1997年に実施した手術だという。 肝胆道の手術のライブシンポジウム。世界各国から肝臓外科で有名な外科医が集まり、日本からも僕を含めて2人が参加した。なぜかインド、特にガンジス川の上流地域には、胆嚢がんの患者さんが多く、国家的な大問題になっていた。恐らく化学工場が発がん物質を垂れ流していたのではないかと思う。 僕がライブ手術をやると分かったら、国中から患者さんがたくさん集まっていた。到着してすぐに回診をやったけれど、半分近くは手術が無理な、とても進行している胆嚢がんの患者さんばかりだった。その中から、実際に手術ができそうな患者さんを選んだ。 その一人が、バングラデシュから来られた人で、ダッカのトヨタ自動車の支店長の奥様で、バングラデシュ人。回診の時、胆管炎で熱を出していたので、さっそくレントゲン室へ移動して、僕一人で胆管ドレナージなどをして胆管炎の治療をした。手術ができるかどうかギリギリだったけれど、ライブ手術の最後の日に回してもらい、当日には幸い熱が下がっていた。 手術を開始したのは朝9時過ぎ、夜の8時頃にはようやく巨大な...