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「患者不在のベッドコントロール」にメス◆Vol.19

スペシャル企画 2016年2月19日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――2000年11月から2年間、名大医学部附属病院の病院長を務めたが、その8年ほど前から、病院の運営には関わっていたという。 名大病院には当時、患者を無視したような、今では考えられない“親方日の丸”的な体質があった。例えば、入退院を調整する権限は病棟の婦長(現在の看護師長)さんが持っていて、いくら部屋が空いていても、入院を1カ月以上待っている患者さんがたくさんいても、絶対に入院させないという今では考えられないことが“常識”になっていた。入退院に伴い、入院時にアセスメントしたり、退院時にはサマリを書いたりするなど、入退院にかかわる作業が増えるため、「入院は、1病棟1日2人まで」などと彼女達で決めていた。婦長さんに「もう1人何とか入れてほしい」と頼みに行くと、「私達の仕事が増えるようなことはしないで下さい」といって一言で断られた。今では信じられないような「患者不在」の意識が蔓延しており、病棟では教授の権限など全くなかった。 一方では、医師の側には、空いている病室が結構あるのに、「入院させたくても、できない」という共通の問題意識はあった。私がいた第一外科も例外ではなく、入院待ちがすごくあった...