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かかりつけ医機能の強化に逆行する画餅の改定

オピニオン 2016年2月14日 (日)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

次期診療報酬改定の点数が2月10日答申された。本体+0.49%と前回(+0.1%)の5倍の財源確保といわれているものの、医療機関の基礎的な点数である、初診料、再診料、入院基本料はいずれも据え置かれた。とりわけ、第一線医療にとって喫緊の2000年代水準への復元、つまりは診療所の初診料286点<消費税対応分12点含む>、再診料77点<同3点含む>への要望は中医協では一顧だにされておらず、かかりつけ医機能の強化に完全に逆行している。われわれはこれに強く抗議する。 ◆画餅のかかりつけ医機能の強化 疾病により「かかりつけ医」は1機関に限定されない 今次改定の柱の一つに、かかりつけ医の機能強化が挙げられている。しかしながら、厚労省のいう「かかりつけ医」は、地域包括診療料、地域包括診療加算を算定する医療機関と同義とされている。これは常勤医3名、24時間対応、高血圧・糖尿病・脂質異常・認知症のうち複数疾病の患者などを要件とし、「全人的医療」の提供を評価したものとしている。 しかし、この届出医療機関は地域包括診療料で93施設、地域包括診療加算で4,713施設(H27.7)と、前年の各々122施設、6,5...