1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「拡大治験」による混合診療の「放散」「蔓延」を危惧

「拡大治験」による混合診療の「放散」「蔓延」を危惧

オピニオン 2016年2月23日 (火)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

1月22日、薬機法の省令改定により、治験計画の適格基準外の患者への未承認薬使用が「拡大治験」として制度化された。致死的・重篤で有効な治療薬のない患者への「人道的」救済の側面を持つ一方、治験薬の多額な患者負担が前提である。これにより、未承認薬は、(1)「臨床研究計画」のない、「患者申出療養」での使用、(2)治験計画外での使用、といずれも厳格な科学的検証の「枠組み」を外れた、保険外併用療養(混合診療)の、一気通貫の使用が可能となる。慎重運用の釘が刺されているが、安易な未承認薬使用の混合診療の放散、蔓延を危惧し、強く警鐘をする。 ◆「人道的」の名の下での「拡大治験」の制度化と集積データの行方への疑問 医薬品・医療機器は、実用化・製品化にあたり、薬機法(旧薬事法)に基づく臨床試験の「治験」を経、その有効性・安全性の科学的検証結果を基に製薬企業等が国に承認申請をし、承認後、製品化・上市・販売となる。また、治験は保険外併用療養の対象であり、保険診療との混合診療が認められている。治験はⅠ相・Ⅱ相・Ⅲ相、どの段階も保険外併用療養の「評価療養」の対象である。 今回の「拡大治験」とは、人道的見地からの治験...