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認知症患者事故の最高裁判決、「本当によかったのか」

レポート 2016年3月14日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

第6回医療法学シンポジウムが3月12日、「少子高齢化社会を乗り越える医療制度の実現に向けて」をテーマに都内で開催された。浜松医科大学法学教授の大磯義一郎氏は、認知症患者によるJR東海の列車事故で、同社が損害賠償を求めた裁判の3月1日の最高裁判決について、「本当にこれでよかったのか」と問いかけ、認知症患者など責任能力を持たない人が起こした事故の損害を誰が補てんするのかなどの新たな課題が生じたとし、場合によっては介護施設などが責任を負う場合もあり得ると警鐘を鳴らした。 浜松医科大学法学教授の大磯義一郎氏 最高裁判決後、大磯氏が、損害保険会社に対し、「介護老人保健施設の入所者が外泊中に、今回と同様の列車事故を起こした場合、損害賠償責任保険で補償されるか」を問い合わせたところ、「補償対象外」との回答だった。大磯氏は、各当事者に過度な責任を押し付けることは、かえって高齢者の保護を欠くとし、「どのような手続きを踏めば、自らの行為が後から違法のそしりを受けずに済むかというルール作りが必要」と指摘。同時に、被害者保護も重要であり、保険による漏れがないカバー体制が求められるとし、「高齢社会を迎えるに当た...