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「1年目が何を言うか」「筋は通る」◆Vol.10

スペシャル企画 2016年4月10日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――初めて受け持った患者の経験を通じて、研究の重要性、面白さを知った。 急性肝炎で入院していた20代後半の女性でした。回復期にあり、退院を判断するに当たり、ICG(インドシアニングリーン)検査を実施しました。肘の静脈にICGを注射し、15分後に採血をします。ICGが10%以下なら肝臓が正常に機能している証拠。ところが、その患者さんは84%と高く、愕然としました。この検査は採血の時間厳守が重要なので、「やはり新人はダメだな」と先輩から怒られました。 しかし、先輩が行ったところ、今度は96%とさらに高かったのです。ICG検査と同じ色素排泄機能を調べるBSP(ブロムサルファレイン)検査をはじめ、GOT、GPTなども全て正常なのに、ICG検査結果だけが異常でした。ICGは20%を超えると肝硬変の可能性が高いのですが、この患者さんは元気で、食欲もあり、96%という結果は信じることができませんでした。 指導医の松本先生から、「この患者を第3内科の次のカンファレンスに出すから、勉強しておいて」と言われました。日中は診療があるので、終わってから図書館に行って調べる日々。同じ症例は見つかりませんでしたが...