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「何人も失敗に終わったテーマ」で学位取得◆Vol.13

スペシャル企画 2016年4月13日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――卒後5年目の1976年、愛育病院での研修を終え、北大に戻った。1978年6月には北大第3内科の助手に就任。 ある時、当時の白石教授に呼ばれ、学位のテーマを言い渡されました。それは、「アルドラーゼAを精製して微量測定法を開発せよ」。アルドラーゼは、以前から使われていた臨床検査の指標で、A、B 、Cの3つのアイソザイムがあり、Aは筋肉、Bは肝臓、Cは神経や脳に多く、臓器特異性が高いことが知られていました。Aは筋肉以外にも、がん組織にも含まれ、アイソザイムの分析ができれば、がんの診断も可能ではないかと言われていたのです。 学位のテーマを長瀬先生に話したところ、「君は、それを受けてきたのか」と聞かれました。「はい、と言ってきました」と答えたら、「馬鹿だな」と(笑)。第3内科のアルドラーゼ研究には長い歴史があり、白石教授の前任の高杉年雄教授の時代から取り組んできた課題でした。アルドラーゼアイソザイムの測定は、当時、酵素法と呼ばれる間接法で測定していたのですが、直接測定できる微定量法の開発が望まれていました。その微定量法に、これまで何人かチャレンジして、皆が失敗に終わったテーマだったらしいので...