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ピロリ菌、「何だ、これは?」が第一印象◆Vol.17

スペシャル企画 2016年4月17日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――浅香氏がピロリ菌と出会ったのは、1987年に米シカゴで開催された、米国消化器病会議だった。 1981年4月から1982年9月までベイラー医科大学に留学しており、学会で5年ぶりにその当時のボス、アルパート教授と再会できました。彼の教室のデイビット・グラハム准教授が面白い細菌感染の研究をしており、その診断法が『Lancet』に掲載されたばかりなので、「発表を聞くように」と言われて、会場に足を運んだのです。 ヘリコバクター・ピロリは、その4年前に発見されたのですが、当時の日本ではほとんど知られていませんでした。グラハム准教授の発表は、新しく開発されたピロリ菌の診断法の尿素呼気試験。それ以前は、ピロリ菌感染の診断方法が確立していなかったため、ピロリ菌感染と疾病との関係は必ずしも明確ではなかったのですが、ピロリ菌の診断に、これまでの診断法をはるかにしのぐ感度と特異性を有する尿素呼気試験を確立したという内容でした。それまで陰性だった症例でも、尿素呼気試験で陽性になる可能性が出てきた。発表が終わるとものすごい拍手。それまで僕は何度か米国消化器学会に参加していましたが、あれほどのスタンディング・オ...